[25日目] Cerevo陣容の推移といつ何を「自前で」やってきたか

CEOの岩佐です。最近スタートアップしたばかりの企業や、これからIoT分野で起業してみたいというご相談を多く受けるようになった。で、ナニをドコへ頼んでどこまでを自前でやって、どんな人員を採用してなにを担当してもらって、といった部分について相談に乗るのだが、ウチ(Cerevo)はこうやっているよ? という話をするわけなのだが、最近ウチは人数が80名近くに増えてしまったこともあって『今のCerevoの規模の話をされても参考にならん。起業したばかりで数人の頃どうやってやってたのか?』と返されてしまうことが増えた。

別に私の中ではそのへん大して変わっていなくて、今でもCADのデータを見てリブの位置微妙なんじゃねって話をしたり、金型工場に乗り込んでいってヲラヲラをやったりもするんだけど、アドベントカレンダーの締めくくりとして過去8年どのような人員パターンでやってきて、どこを外注に出してどこは内製にしていて、その理由はナニで、と言ったあたりについての話をしてみたいと思う。

創業直後 2008年

人員構成

組み込みSWアルバイト学生さん×3名 + CEO+社外の協力者(株主になってもらった方多し)

委託/自前?

  • デザイン → デザイン会社に委託
  • メカ → 存在せず。メカ設計にツッコミを入れてきたVCは皆無だった
  • 調達・生産管理 → まだモノを作っていないので不要。VCからはよく聞かれた
  • 電気 → SeriesAの調達が終わるまで不要と判断し、調達後にJoinしてくれる人がいますと説明
  • バックエンド →  SeriesAの調達が終わるまで不要と判断し、調達後にJoinしてくれる人がいますと説明
  • 組み込みソフト→ バイトさんたちによって、アリモノのEVM(当時は京都マイクロのKZM-ARM11-01)の上にGNU LINUXをポーティングし、カメラ・通信・キー操作部・GUIあたりまではプロトを作りこむ。が、製品には程遠い完成度

説明

ハードウェアスタートアップはお金があってはじめて量産ができる。量産しないなら別に企業にする必要もない、と私は考えていたのでVCのみなさんが完成形をぼんやりとだがイメージできるよう、外形のデザインだけをデザイン会社にお願いして作ってもらい、モックを1つだけ製造(国内で作ったのでクッソ高かった!)。 今でこそRaspberry Piなど組み込みベースのプロトタイプ用コンピュータが多数出回っていっるが、そういったものがない時代だったので組み込みソフトがEVMのうえとはいえ動いているところは説得力があるだろうとソフトウェアはアルバイトさんに作ってもらい、結果として常勤メンバーはCEOの私一人という状態でシリーズAファンディング直前迄持っていくことができた。もっとも、その間にリーマン・ショックがあって色々と大変だったのだが。最終的にVCからのシリーズA資金払込日の段階では私を含めて常勤メンバー数4名となっていた。なお、資金調達完了前にSoCの変更を決断し、これまで作ってきたソフトをほとんど全て捨て、TIのダビンチシリーズへと移行する。結果、ソフトウェア資産の9割…は言い過ぎかもしれないけどほとんどを破棄することに。何で?というのはまぁ長くなるので割愛するw

シリーズA調達後~初代製品であるCerevo CAM発売まで 2009年

人員構成

  • CEO
  • VCから派遣してもらっていた暫定COO
  • 組込SW 2名
  • 電気 1名(ソフトも書ける電気屋さん)
  • バックエンド(組み込みも書けるバックエンド屋さん) 1名
  • フロントエンド(Webアプリもスマホアプリもできる屋さん)1名

委託/自前?

  • デザイン → デザイン会社に委託
  • メカ → 存在せず。デザイン会社はメカ得意ではないので結局のところメカ設計はEMSのメカ担当とCEOの私が一緒になって何とかやっつけた。この経験からメカに明るくなったため、私はメカ面を今でも結構深く見ている。
  • 部品調達 → なし。ほぼ工場に丸投げ
  • 工場との調整→電気1名+CEOで担当。別に専門家じゃなくても製品1個なら何とでもなる。というかそもそもスタートアップにはここの経験豊富な人材は不要と感じる。なぜなら自社の工場コントロールにおける『色』を作っていくフェーズだから。
  • 電気 → 基本となる回路(ES1の回路)は外注の電気設計会社に委託。これをもとに電気1名の自社人員で修正修正を繰り返し、最後はEMSの電気担当に入ってもらいつつ仕上げ。
  • バックエンド →  バックエンド担当が自前で設計。サーバは自社設計シャシー(3000円程度)に自社設計サーバを載せ、サーバーラックは私(CEO)が設計して5000円以下に抑えてオフィスの片隅に設置。
  • フロントエンド →  コアコンピタンスとの認識で全てを自社設計。OpenSourceのライブラリは使うものの、一切社外のソリューションなどは用いず。
  • 組み込みソフト→ コアコンピタンスとの認識で全てを自社設計。OpenSourceのライブラリは使うものの、一切社外のソリューションなどは用いず。

  • EMS選定 → 元ジェネシスHDの藤岡さんに相談し、彼が色々とカメラを作ってきた工場(その後倒産w)を繋いでいただき、取引としては当時の藤岡さんがいた会社に、Cerevoと工場の間挟まってもらう形の契約でGo。トラブルも山のようにあったのでこの関係が100点だというつもりはないが、当時リスクマネーを投資していただいたVCの皆さんに安心していただくという意味でこの座組みは必要だった。また、この当時頼んだ工場がまたいい意味でも悪い意味でも『チャイナな』ところで、中華のちいさ目の(といっても数百人規模)工場ってこういう人たちで、こういうことが起きるんだねというのを沢山勉強させていただいた。

説明

多分ここが一番スタートアップしようという人にとっては気になるタイミングなのかなぁと。勿論反省点も多く、これが正解だというつもりは毛頭ない。デザイン会社には入ってもらわなくても何とかなったと思うし、電気設計を外注に頼んだのはかなり無駄金だったなぁと思うところもあった。頼んだ会社が良くなかったというわけではなく、中華小規模工場で量産する品の試作(量産試作)を頼むべきところではないところに私が頼んでしまったことが問題だった。でも、そんなのは正直経験者にしかわからない。外注するにしても、似たような品の量産品経験者に聞いてみることは大事だ。

….というはなしははるか5年も前のはなしなので、VCはもちろんEMSも当時とは様変わりしているのであくまで参考程度に。

シリーズB調達後~初代LiveShell時代~ 2010年

人員構成

  • CEO
  • 組込SW 1名
  • 電気 1名(ソフトも書ける電気屋さん)
  • メカニカルデザイナー(メカもデザインもできる) 1名
  • バックエンド(組み込みも書けるバックエンド屋さん) 1名
  • フロントエンド(Webアプリもスマホアプリもできる屋さん)2名
  • スーパー総務(サポート、部品調達、人事、総務、秘書兼任)1名

委託/自前?

  • デザイン → 晴れてメカ・デザ人員を採用できたので自社に切り替え
  • メカ → 先のメカ・デザ人員による自社設計に切り替え
  • 調達・生産管理 → 実質EMS丸投げ。自社での部品購買などはせず、設計開発に集中。
  • 工場との調整→金型まわりはメカエンジニア、電気周りは電気エンジニアが一部フォローし、ここで電気・メカそれぞれの担当者において量産工場コントロールスキルが付いてくる。この2名は現在はPMとして直接工場のコントロールを担当している。
  • 電気 → 電気担当が外注コントロールしつつ、実際に回路図引いてAWするのは外部の委託会社という座組み。今ではOlasonicブランドで有名になった五反田の東和電子さん。元ソニーの屈強な電気エンジニアの皆さんに助けていただく。
  • バックエンド →  バックエンド担当が自前で設計。震災もあって自社内自作ラックにわかれをつげ、AWSに移行。
  • フロントエンド → 全て自社設計
  • 組み込みソフト→ 全て自社設計
  • EMS選定 → ここでは加賀電子さんにお世話になり、GroupSense Japan経由でGroupSense Limited(香港)の東莞工場にて生産という座組。日本を代表するEMSとして加賀電子さんに入っていただくことで、大手さんの進め方ってものを学ぶ。といってもGroupSenseの東莞工場は1千人程度(うろ覚え)の規模でそれほど超絶大手というわけでもなく、色々と教えていただく。

説明

シリーズAで1.3M、シリーズBで2.4Mというそれほど大きな調達ではなかったが、VC各位からのご指導もあって2発目は安心安全な座組みでいこうということで加賀さんをチョイス。大手EMSに頼んだこと、メカデザイナーがメンバーに入ってくれたことで相当しっかりとした商品ができあがる。スタートアップとしてはほぼ100点….は言い過ぎだろうが、今から振り返っても相当うまく回ったなぁという印象。

EMS丸投げからの脱却 ~LiveShell PRO, SmartTrigger, EneBRICK時代~ 2011~2013年

人員構成

  • CEO
  • 組込SW 1名
  • 電気 2名(ソフトも書ける電気屋さん)
  • メカニカルデザイナー(メカもデザインもできる) 2名
  • バックエンド(組み込みも書けるバックエンド屋さん) 1名
  • フロントエンド(Webアプリもスマホアプリもできる屋さん)2名
  • スーパー総務(サポート、部品調達、人事、総務、秘書兼任)1名
  • スーパーバイト 2名(部品調達、総務、サポート等)

委託/自前?

  • デザイン・メカ → デザメカ2名体制に増強し、2製品並行開発が可能に。当然全て自社設計
  • 調達・生産管理 → Alibaba砲に火が入り、私(CEO)がAlibabaで新しい業者を見つけてきては部品単位で調達をしはじめる。箱屋、ケーブル屋といったレベルで中国深センローカルの部品サプライヤーと付き合いをはじめた
    工場との調整→電気が基板・実装まわり、デザメカが金型・組み立てまわりをそれぞれ見る。私も現場に出て行ってラインの調整とか限度サンプルの評価をやる感じ。
  • 電気 → 当時オフィスをシェアしていた設計会社に設計を手伝ってもらいつつ、製品によっては自社で回路設計からアートワークまでやる方式に移行。
  • バックエンド →  バックエンド担当が自前で設計
  • フロントエンド → 全て自社設計
  • 組み込みソフト→ ほぼ自社設計。ソフトエンジニアで良い人がなかなか採用できず、一部製品は電気設計エンジニアがソフトも書くという形で乗り切る。どうしてもリソースが足りなくなり、先に述べたオフィスシェアしていた設計会社さんに手伝ってもらうことも。
  • 工場選定 → あえてEMS選定と書かなかったのは、LiveShell PRO以降はSMT工場、Assy工場、金型工場(Plastic Injectionは型工場でやることが多い)、部品サプライヤーをそれぞれ自分たちでみつけてきてハンドリング、Assy工場にそれぞれの部品を集結させて生産するという方式に移行。

EMS丸投げは楽だけど、どこでどういう風にコストを乗せられていたのかがよくわかる。中国ローカルのサプライヤーで化粧箱を1000個作ったらいくらなのか? 化粧箱の型代とかいうけどローカルサプライヤーの箱型代原価はいくらなのか? 金型代って高いけど実際に金型だけを作ってるような工場(XX MOLDってなとこ)に頼んだら幾らなのか、プラスティックのインジェクション(射出成形)は実際にネゴったらどこまでMOQを下げられるのか? などかど、EMSにまるっとまるめて『XX円でMOQはYY個ですね、これ以下は受けられません』って言われていたところの裏事情というか、背景がどうなっているのかを丸裸にしていく。

 
 

ここからはさらっとものすごく重要なことを書くのでハードウェアスタートアップやる人は要メモ。
 

・箱はMOQ数百だとクッソ高い。1000個でも高い。3000~ とか作ってやっとマトモな値段になる。でも、別に100個でも作ってくれる。勿論日本で作るより数倍安いw
・箱の初期費を多く請求するEMSは疑え。箱の型代って高くても10万もしない
・こんな箱はつくれないっていうEMSは箱屋変えろと怒鳴るべき。箱屋に行って交渉すれば本当に色んな箱がつくれる。
・電子部品のMOQは日本の商社経由だったり正規代理店経由のときに言われるモノ
・電子部品を香港ブローカー経由で買うってのはそんなに狂ったような行為じゃない。Cerevoは50%以上これでやってる。
・香港ブローカー経由だとMOQ100個とか300個で平気に電子部品が買える。
・稀に部品番号間違いで送ってきやがったりとトラブルは絶えないが、それも許せるぐらい安いw
・電子部品のMOQで困ったら、或いは正規代理店が相手してくれなかったら、Winsomeのミシェルちゃん(アイコンは詐欺w)にCerevoのCEOから紹介されたぜとAlibaba TradeManagerで連絡してみるといい http://www.winsome.hk/
・工場を探すならHongKong Electric Fair に行け。China global sourcing fair も同時開催されているので両方行くべし。ブースでいいなと思った工場があったら『We’d like to look around your factory and much more details of business discussion next week?』とその場で交渉。事前にWeChatを入れていくのを絶対に忘れずに。その場で『Could you exchange WeChat ID for factory visit?』だ。『Please take picture with me for remember』で写真一緒に撮るのも忘れずに。
・これらのShowに行くときは翌週も中国で過ごす予定を入れ、ショウ終了後の週末(土日)に深センに移動し、翌週は先の会場でアポ取った工場をひたすら見学して回る。忙しい中相手してくれる皆さんへの敬意は忘れずに。CerevoとかUPQとか日本のハードウェアスタートアップの話題を出すと知ってる人も多いので話がはずむはず
・金型屋(金型だけを作ってる工場)はなかなか香港ショウに出てこないのでうまく探さないといけない。Alibabaで片っ端から当たっていくのも一つの手。日本のクライアントさんは居る? って聞いてまわって絞っていくのもいい。
・金型屋にはT1ショット射つときに必ず行くべし。現場でT1見ながらああでもないこうでもない、とやる。飲める人は中華料理と酒をご一緒して仲良くなっておきたい
・基板屋は深セン近郊(東莞・広州・中山など)にある必要性が薄い。Cerevoでは大連なども使っているが問題なし。
・Assy工場と金型屋、箱屋は距離が近いほうがいい。Assyは上海、金型は深セン、箱屋は浙江省とかになると色々とたいへん。もちろんこれはあくまで教科書的なはなし。Cerevoでは深センの基板屋で作った基板をベトナムに送ってSMTし、これと深セン製のアルミ筐体をフィリピンに送ってAssyというLiveShell PROでやっているぶっ飛んだスキームもあるが、慣れないうちはトラブル時の対応に時間がかかるのでおすすめではない。

…….たぶんまだまだ100個ぐらいTips出てくるのだが、アドベントカレンダーは12/25中に完了しないといけないそうなので後日別途書くことにしよう

10名→70名体制として超多品種展開へ ~DMM.make AKIBAへ~ 2014年~現在

電気・メカデザ・組み込みソフト・フロントエンド それぞれをチームとして組織し、それぞれ15名前後の体制に。流石に全てのプロジェクトをCEOが管理監督するのは限界が出てきたので調整役となるメンバーもPMという名前をつけて(あくまで調整役といういち機能・職種であってプロジェクトメンバーの上司やリーダーではない)組織。これらチームから1名づつ(PMいれて5名)を選出して1製品をつくるという開発スキームが確定。もちろん大規模プロジェクトには各設計パート2名づつが投入されて8+1=9名になるようなものもあるけれど、基本的には1製品多くて4-5名という体制を確立。

スーパーバイトが大手家電メーカーに出向するから一旦Cerevoを離れたいというので、じゃぁもっとスーパーなバイトを呼んできてくれと言ったら呼んでこられたスーパーx2なバイトくんがさらによんできたスーパーx3な中国語日本語英語ドイツ後なんでもいけるバイトさんx4が正社員となってくれたので彼(先日中国語Tipsを書いてくれたライ麦パンさん)を中心に中華サプライヤーの管理・開拓部隊を新設。今やバイトさん含めると中華ローカルのサプライヤー対応する中国語ネイティブクラスのメンバーが5名もいるという状態に。これは強い。

もうこの状態になると、外注する要素は皆無。メカ設計、電気設計、アートワーク、サプライヤー選定、工場コントロール、などなど主要な設計は全て自社内で完結。EMSがへぼい見積投げてこようものなら、いらねぇと言えるのが強い。金型屋の選定から箱の設計製造、何なら付属品の調達まで、全部自分たちで回してしまえるので。

じゃぁEMSとはご縁がないのかというとそんなこともない。ローカルサプライヤーをダイレクトにコントロールしたほうがいい場合と、その手間を考えてこれぐらいのコストアップならEMSにお願いしちゃおうということも多分にある。EMSのみなさんも、Cerevoはローカルサプライヤーの価格を知っているという前提で攻め込んだ見積を出してきてくださるようになったので、やりやすい。

また、大手のEMSさんも面白がってお付き合いしてくださることが増えてきた。Hackeyは小笠原さん・孫泰蔵さんが手がけておられるABBAlabからご紹介いただいたおかげでFoxconnで製造することができた。Foxconnとは別の大型プロジェクトも進めていて、CES2016で発表予定だ。

また、小回りの効くEMSとして(厳密にはEMSコントロール会社)、PARSの黒瀬さんにもお世話になり続けている。Foxconnはさすがにちょっと、ということであればCerevoのWebを見たといって相談してみるといい。Webサイトは昭和な香りだが、力になってくださるはず。

おっともう23時55分を過ぎてしまったのでここいらで公開しないと広報Teamにどやされるw
今日が納会というお会社も多いだろうが、深センに年末年始はない(笑) アメリカに正月もないw
ということで私は26日から中国に飛んで、正月からアメリカでCES。こんなドタバタを楽しめる人なら、ハードウェアスタートアップは向いているんじゃないかと思う。

では!

[24日目] 海外工場(深セン)の裏側 ~パッケージ編~

メリークリスマス、Cerevoの伊藤です。Cerevo製品の製造・生産・調達関連を担当しています。
アドベントカレンダーも24日目をむかえ本日は12月24日となりました。
私の勝手な予想ですが、本日は一年でも最もプレゼント交換がおこなわれる日なのかなぁと思ってます。素敵なプレゼントの条件として、中身はもちろんですが包装(パッケージ)も大事ですね。ということで本日のテーマは製品のパッケージです。

Cerevoはいわゆるファブレスと呼ばれる会社のため、製品に使用する部品の製造、製品本体の組み立ておよび梱包作業はアジア(主に中国)の工場に依頼しています。もちろん製品をパッケージする「箱」も然りです。私は海外工場に出張することが多いので、本日はCerevoの製品の箱を製造している深センのパッケージ工場(我々は「箱屋」と呼んでます)についてお話しすることにします。
海外工場とは英語でコミュニケーションしているので、いつも使用している単語は英語のまま記載することにしました。はい、中国語も勉強しますよ。

箱屋の役割

箱屋で製造しているものは主に下記です。

  • 製品を個別に梱包するための個装箱(Gift box)やスリーブ(Sleeve)
  • Gift boxの中で製品を固定するために使用する内箱(Inner box)
  • Gift boxを何個かまとめて梱包し、発送の際に使用するダンボール箱(Carton box, Outer box)
  • 取扱説明書(Manual)
  • 保証書(Warranty card)

実際に製品や保証書などをGift boxに梱包(パッケージ)するのは組立工場(EMS工場)になります。

20151222055012

左からSNOW-1のInner box, Gift box, Sleeve

箱屋の存在は貴重

私は新規工場開拓のネタ探しのため毎年二回開催されるHongKong Global SourcesやHongKong Electronics Fairに毎回参加しています。そこでは100社を超える基板工場、金型工場、金属加工工場などが出展していますが、箱屋はわずか数社です。中国に存在する工場の数が無限ではないと最近気づき始めたとはいえ、比率的にみても箱屋は非常に少ないです。また複数の基板工場や金型工場と取引しているEMS工場であっても、箱屋は一社のみというのが一般的です。さらに基板実装・樹脂および金属部品を内製できる工場でさえも、Gift boxやCarton boxの製造は外部委託しているのが現状です。しかもEMS工場は基本的に取引している箱屋さんをなかなか教えてくれません。

つまり、我々のようなスタートアップが上質な箱屋を探し当てるのは簡単ではないということです。

箱屋から学ぶ

苦労して辿り着いた箱屋での体験は我々にとって非常に価値があるものです。上記のとおり数少ない存在の箱屋は、必然的に国内外に多くのカスタマーを抱えることになり、様々な製品のGift boxやInner boxを製造しているため、そのノウハウたるや計り知れないものがあります。

過去に既存製品のコストダウン目的で、外観は変更せず内箱(Inner box)の再設計を依頼したことがあるのですが、なかなか我々だけでは考えつかない構造が提案されました。使用する材料を極力減らし、組立を簡単化したコストダウンの際たるものだと感心しました。そんな箱屋から、「君たちの設計がベストで、構造的にはどこもコストダウンする案がない」と言われたときは素直に嬉しかったです(私はデザイナーではないですが)。

実際、EMS工場などに対しては品質向上やコストダウンのためにこちらが指導・教育することが多いのですが、箱屋からはノウハウを頂戴することがほとんどです。そのノウハウを次の製品に活かし、我々も箱屋も成長しているのです。

箱屋を覗く

金型工場や金属加工工場では自動車用の大物部品が得意だったり、小型精密部品が得意だったりするように、箱屋にも工場によって得意な分野があります。高価な素材を使用して高級感を出すのに適した箱屋もありますし、できるだけコストを抑えるのに適した箱屋もあります(仕上りが悪いわけではない)。とくにInner boxについては、紙(Paper)での設計が得意、ブリスター(Blister)の製造が早い、EVAの加工・仕上りがきれいなどなどあります。いろいろな箱屋を訪問しているうちに、各工場が持っている設備の違いやちょっとした製造方法の違いによって得意分野やコストダウン方法が決まってくるってことが最近ようやくわかってきました。

では、箱屋がどのような設備を持っていてるか生産現場を少しだけご紹介します。

紙へ印刷(Print)するためのの機械

紙へ印刷(Print)するためのの機械

印刷した紙にラミネーション(Laminate)するための機械

印刷した紙にラミネーション(Laminate)するための機械

箔押し(Silver plate, Stamp)の機械

箔押し(Silver plate, Stamp)の機械

紙を任意の形状にカット(Die cut)する機械

紙を任意の形状にカット(Die cut)する機械

シルク印刷しているところ(Silk screen print)です。

Blisterの形状をつくっているところです。熱したPETを銅製の型を使って一瞬で形状を作ったあと、10秒ほど冷却しています(動画は順番が逆です)。

箱屋に行くと、こんな美人にも会えます(東莞ですが)

箱屋に行くと、こんな美人にも会えます(東莞ですが)

Cerevo製品の箱

上記の設備を使って製造されたCerevo製品のGift boxをご紹介しましょう。

手前から、Hackey、cloudiss、LiveShell 2、LiveWedge、SNOW-1

手前から、Hackey、cloudiss、LiveShell 2、LiveWedge、SNOW-1

どのパッケージにもデザイナーのこだわりが詰まっている素敵なデザインだと思います。Inner boxの構造設計にもいろんなアイデアが盛り込まれているのでお見せしたいのですが、購入された際のお楽しみとさせていただきます。また、今後のCerevo製品のパッケージにも是非ご期待ください。

最後に

Cerevoがパッケージ工場とどうやって付き合っていて、そこからどうやって製品ができるか少しは知っていただけましたか?機会があればSMT工場編、金型工場編などやっていきたいと思います。

アドベントカレンダーとしては本日12月24日が最終日らしいのですが、まだ肝心な人が書いてないですよね。
ではまた明日!

[23日目] ドミネーター開発を事例としたオタク中心設計 序

こんばんてん。プロダクトマネージャーの加々見です。秋葉系インタラクションデザインと称して、こんなVJソフトこんな楽器をつくっていたら、いつ間にか聖地アッキハバラー\(^o^)/で働らくことになって願ったりかなったり。Cerevoアドベントカレンダー23日目は、そんなアキバ系なアニメにまつわる話から、今夜もスタートアップ!

今年も心に残るアニメに出会えましたか?

image01

著者が今年購入したBlu-ray抜粋

今期のテレビアニメは、残念ながらあまり追えてなかったのですが、「すべてがFになる-THE PERFECT INSIDER-」は毎週見ていました。本編もOP/ED楽曲もとても好みなのですが、特に、OPやEDの映像が、ミュージックビデオのような作り込みで非常に見応えがありました。

とりわけEDの最後のカット、ライフゲームアルゴリズムのプログラムによって生成されたデジタルな動きのクローズアップから、徐々にカメラが引いていき、それらが3次元かつ有機的な配置になって、最終的には真賀田四季の顔になっていくシークエンスがすばらしい出来でした。彼女がつくったプログラムから、謎めいた天才プログラマーである彼女の輪郭が露わになっていくお話の構造とリンクしているようで、心に残っています。

ところで「すべてがFになる-THE PERFECT INSIDER-」は、(アニメファンならご存知でしょうが)フジテレビのノイタミナというアニメーションの放映枠で放送されています。そう、ノイタミナといえば、劇場映画版も制作された人気シリーズ「PSYCHO-PASS サイコパス」がありますよね?

もうお分かりかと思いますが、われわれCerevoでは、サイコパスの劇中に登場する銃状のデバイス「ドミネーター」のスマート・トイを開発しています。今回の本題は、そのドミネーターの開発手法をお話したいと思います。

ドミネーターを、どんな人に向けて開発をするか

image02

宜野座 監視官コスの弊社社長

弊社は秋葉原にオフィスがあるという事も幸いして、社長をはじめ社員の半数以上が何がしかのオタクです。

ドミネーターの開発に関しては、「オタクが自分の好きな商品をつくる」という、一見喜ばしい事のような状況ではありますが、オタクといっても十人十色。その状況が逆に「おれ・私が思うドミネーター・シビュラシステム」をぶつけあう事になってしまい、エリアストレスの上昇、色相判定の濁り、サイコハザードによる開発停滞、となってしまう懸念がありました。

そこで、自身がオタクとして、製品開発に愛情を込めつつも、客観的にそして素早く商品を設計をするために、「どんなオタクに向けてつくるか?」を決める事にしました。名付けて「オタク中心設計(OTAKU-Centered Design)」です。

オタク中心設計(OTAKU-Centered Design) – 三人のオタク

オタク中心設計を簡単に説明すると。具体的にどんな人が、どういう状況で、商品をどういう風に使うという事を考え(OJM: OTAKU Journey Map)、その人物像(オタクペルソナ)を中心に据えて設計をする事です。今回は「三人のオタク」を想定して設計をする事にします。

場所 使い方 モード モード内容
1.サイコパス好き 自宅・友人宅 家族や友人の犯罪係数を測定 Execution Mode 犯罪係数の測定、写真撮影
2.SFアニメファン & 日髙さんファン 自宅 一人で鑑賞 Basic Mode / Sound Test ドミネーターの変形・サウンドをじっくり楽しめる
3.コスプレイヤー コスプレイベント 手に持って撮影・友人とあわせ撮影 Basic Mode 任意のタイミングでパラライザー・エリミネーター変形ができる

※・・・実際の開発では、より詳細の情報を検討していますが、説明のために単純化しています。これらのユーザーは、特定の誰かという訳ではありません。とはいえ実際に友人や開発メンバー以外のオタク同僚などにインタビューをする事で、現実離れしすぎないユーザーを想定しています。

この表をつくることにより、ユーザーがとりうる行動が可視化され、議論がスムーズになりました。例を挙げてみます。
表を眺めながら考えると、2や3のユーザーは、指定したタイミングで「パラライザー」と「エリミネーター」の変形を楽しみたいという欲求が想定されます。3のコスプレイヤーの方々であれば、自分の思いどおりに変形をおこなって、写真に撮ったり撮られたりを楽しむと考えられますし、2の方々であれば、家に好きな状態で飾ったり、変形するさまを鑑賞する姿が見えてきます。

IMG_3406

開発中のドミネーター連動アプリの画面(ドミネーターのモードを、アプリから切り替えます)

開発初期段階では、「劇中同様に犯罪係数を測定して楽しむモード(Execution Mode)」 だけを実装する予定でした。Execution Modeでは、犯罪係数の測定結果が300を超えないと変形しません。それでは2と3のユーザーは不満を持ってしまうのではないでしょうか。そのため、「Basic Mode」という、好きなタイミングで変形ができるモードを追加することになりました。
また日髙のり子さんファンの方なら、音声だけじっくり聞きたいだろうという想定の元、サウンドテストモードのアイデアも出て実際の仕様に反映されています。

(更に、これらのユーザーが、もっとドミネーターを楽しめるモードも検討しております。お楽しみに。)

この表があることにより、前述したような、単なる機能の選定に役立つだけでなく、ドミネーター本体の設計や個装箱の意匠、全体の重さ、電池の容量、LEDやセンサーの数や配置、試験の条件、連動するシビュラアプリのユーザーインターフェイスのデザインや説明文等々、商品に関する多岐にわたる判断や、議論がしやすくなりました。

もちろん全てこの表を元に決められないこともあります。その場合は、サイコパス愛を持って議論をしつつ、煮詰まってしまったら、客観的に、想定したユーザーである3人のオタクが喜ぶかを考える……このようにして、すばやく検討し開発をおこなっています。

ただし、弊社として、これらのユーザー層に当てはまらない方にも、ドミネーターを是非とも楽しんでいただきたいと考えています。このオタク中心設計という考え方は、あくまで、ベンチャー企業がスピード感のある開発をするための手法、また、オタク達が自我を保ちつつ、かつ客観的にオタク向けの商品開発をする手立てのひとつであると思っていただければと思います。

まとめ

「オタク中心設計(OTAKU-Centered Design)」と称して、オタクどうしの社員が色相を濁らせることなく、素早く開発を進めるために、ユーザー層の想定から、機能仕様の検討までの手法を、ドミネーターの開発事例を元に簡単に説明しました。この記事を書くにあたり、知人のNC帝國 @MikiyaSSK 氏に編集協力を頂きました。ありがとうございました。

※・・・オタク中心設計の名前の元ネタは、「ユーザー中心設計(人間中心設計)」です。そちらはより客観的に詳細に製品仕様を決める手法となっています。興味を持った方は「ユーザー中心設計(人間中心設計)」「UXデザイン(ユーザーエクスペリエンスデザイン)」といったキーワードで検索してみてください。

[22日目] 「引きこもり係数」ツイートの仕組みを解説 (後編) 〜「ESP8266」で始めるIoT入門

22日目は組み込みソフトウェアエンジニア兼、引きこもり担当の杉本が 「引きこもり係数」ツイートの仕組みを解説 の後編を担当します。
前回の記事でESP8266にNodeMCUを書き込んで、ツイートする部分まで解説しました。今回の記事は前回の続きから解説していきます。

[2日目] ついに外の世界(ネットワーク)へ「引きこもり係数」ツイートの仕組みを解説(前編)〜「ESP8266」で始めるIoT入門

「引きこもり係数」測定装置の動作について

ドアの開閉と、在宅中/外出中を判定して、在宅中が48時間以上連続した場合、
ツイートする仕様とします。ついでに温度を30分毎にGoogleスプレッドシートにログしていきます。
(温度ログについてはおうちハック研究会のブログがすごく面白いので真似しました)

ハードウェアとソフトウェアの作成

100均の開閉センサーとIKEAの人感センサー付LEDライトを組み合わせて作成します。
詳細は省略しますが、1点だけ注意があります。
ESP8266モジュールのADコンバータは0~1Vの範囲で入力する必要があります。私は1時間ぐらい正しい値が取得できなくて悩みました。
ソフトウェアはGitHubに上げてあります。
作成したハードはこちら。ケースから飛び出している黄色の物体が温度測定用のサーミスタです。

IMGP93406-02

実際に設置した写真はこちら。

6-05

外出/帰宅の判定は、

外出 人感センサーが反応している状態でドアが開く
帰宅 人感センサーが反応していない状態でドアが開く

としています。

結果と反省

結果

2015年12月11日~12日のGoogleスプレッドシートに記録された外出/帰宅ログと、30分毎の温度ログをグラフにしたのがこちらです。

図1

午前10時頃外出すると温度が下がり、午後11時頃帰宅すると温度が上がる様子が良く分かります。
就寝した時間も大体分かります。午前1時頃でしょうか。

休日の温度ログはこんな感じになります。

図1-1

午前2時に就寝、12時に起床という怠惰な生活っぷりがグラフを見ると一目瞭然です。

反省点その1

1週間以上装置を設置してデータを取ったが、48時間以上引きこもらなかったので、用意したツイートがされなかった。

図1-3

反省点その2

人感センサーが検知している状態で、ドアを開けると外出判定されるので
宅配便の受け取りに対応できない。

まとめ

ESP8266+NodeMCU+IFTTTで簡単にWEBと連携したガジェットが作れます。
水槽の温度を測るロガーとか作りたい方はESP+IFTTT連携で作ってみるのはいかかででしょうか。

[21日目] Hackeyを分解して、リメイクしてみよう

メカデザインを担当しているINDと申します。

今回は、弊社製品のHackeyを分解して、「俺の考えるHackey」にリメイクしてみようと思います。
※Hackeyは分解してしまうと保証対象外になりますのでご注意ください。
 

Hackeyを調達する

まず手元にないので、調達から始めます。こちらの記事を書かれた、Hackeyのプロジェクトマネージャー小薬さんに、「ちょっとオリジナル  Hackey 作ろうと思ってて、余ってませんか?」と聞いてみると、快く頂戴することができました。小薬さん・・・いい人。

これを読まれてるみなさんは、Cerevoオフィシャルストアからお買い求めください。
 

どんなHackeyにするか考える

トリガーの送信方法を少し変えようと思います。キースイッチではなく、生活の何気ない行動をトリガー送信にできないかと考えました。寝る前にメガネとかを置くと相手に「おやすみ」のメッセージが届いたり、帰宅後鍵を置いたら「ただいま」のメッセージが届くようなHackeyにしようと思います。
 

制作開始

ここからの説明は以下のような流れにます。

  • 筐体設計と筐体制作
  • 電気設計
  • Hackey/周辺機器設定

筐体設計ですが、メガネとか スマホが置けるくらいの大きさの極力シンプルな直方体にしようと思います。私は帰宅時秋葉原から上野駅までは徒歩で帰りますので、その道中で構造を考えます。若干この記事とかぶるのですが残り上野〜自宅最寄り駅までは電車内でモデリングをします。ツールはfusion360を使っています。電車内でも快適にモデリングできます。

筐体設計が終わったら「キャビA」「キャビB」「クッション」を作成します。

キャビAは少し風合いを変えたいと思いましたので、コンクリートで作ってみようと思います。コンクリートには着色をします。

キャビBは特に外観上見えてこないので、アクリル板をレーザーカットして制作します。キャビAの流しこみ型も一緒に作ってしまいます。イラストレーターを使って図面を作り、DMM.make AKIBA内のレーザーカットを使用します。だいたい30分くらいで、800円くらい(会員&ライセンス取得のとき)でした。

クッションは自宅にあるフェルトの余りを活用することにしました。

各々制作するとこのような感じになります。

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スイッチ部分に手を加える

次に基板側の改造に移ります。

少し、スイッチ部分に手を加える(少々のリワークが必要ですので)ので自身の見識だけですと少々不安があります。そこで電気エンジニアのスンさんにちょっと手伝ってもらうことにしました。スンさんとは忙しさでほとんど活動していないバンド仲間です。Cerevoのメンバーは、仲間同士で山登り行ったり、サイクリング行ったり、マラソン大会出たり、サバゲーしたり, etc. プライベートでもみんな仲が良いです。スンさん、来週こそスタジオ入ろ。。。

←スンさん

 

スンさんに大まかな仕様を伝えると、実現するための部品はほとんど持っているとのこと、しばらくすると、改造した基板を持ってスンさん登場。早い。

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これはCerevoに入って感じるのですが、皆さんプロトタイプまでのスピードが、とても早いです。

最後にarlduinoにて値を設定(値の設定方法などの説明は割愛します)IFTTTにてトリガーの設定をした後に、Hackeyオンラインマニュアルを見ながら、Hackeyダッシュボードに入り、トリガーの設定をします。

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完成!動かしてみよう!

モノを置いてみるとこんな感じです。セメントやフェルトがIOTっぽくなくて良いです。

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動いている動画はこちらになります。

 

以上です。 皆さんもHackeyをHackして、自分仕様に改造してみるのはいかがでしょうか? HackeyはそんなDIYソフトでもハードでも、DIY精神をくすぐるとても良いプロダクトだと思います。