[15日目] DIY:海外展示会でブースを自主制作してみよう

こんにちは、美谷です。Cerevoでは海外のセールスとマーケティングの担当として働いています。

すっかり炬燵があう季節となってきましたね。炬燵といえば麻雀(?)。

弊社の製品でLiveWedgeというHDMIのスイッチャーにストリーミング配信機能がついたものがあります。LiveWedgeには4つのHDMI入力があり、4カメを切り替えてのネット配信ができます。この4入力を生かすうまい使い方がないかと考え、先日社内で麻雀のオンライン配信を行ってみました。

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4カメを生かすなら、4人打ちの麻雀を配信するのが面白そうということで試してみたのですが、寄りの絵と引きの絵も必要となってくるので、4カメだと残念ながらカメラがちょっと足りませんでしたが、LiveWedgeの面白い使い方として可能性を感じることができました。LiveWedgeをデイジーチェーンで2台つなげて使えば、7カメまで使えますので、かなり本格的な配信ができそうです。インターネット業界界隈では、麻雀大会がこのところ開催されていたりするようなので、こうした配信の場にも弊社としてなにかお手伝いできそうなことがあれば、ぜひお声掛けいただければと思っています。

サイバーエージェント藤田社長、いかがでしょうか?(笑)

ブースを自主制作してみよう!

さて、冒頭から脱線してしまいましたが今回は海外展示会でのブースのDIYについてご紹介したいと思います。Cerevoでは世界最大の家電製品の展示会であるCESをはじめ、海外で出展をする機会がたびたびあるのですが、多くの展示会においてブースを自主制作しています。

スタートアップ系の展示会では、事前にデスクが用意されていて、ポスターやPCと製品を用意するだけで十分な場合も多くあります。ただこうした展示会は、投資家、メディア、同業のスタートアップの方以外の来場者はあまり見込めない場合がありますので、自社の製品の顧客層が明確な場合は、そした顧客に向けたバイヤーが多く集まる、業界に特化した展示会への出展を行ったほうが費用対効果が高くなります。

こうした見込み客がくるような展示会では、スタートアップ向けのデスクブースというものは少なく、展示スペースを購入して、ブースの設営から行うことになります。

またスケルトンの骨組みなど、あらかじめ最低限のものが用意されている展示会でも、一工夫することでより目立った印象的なブースを制作することができます。

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(SXSWで制作したブース)

ブースを自主制作するメリット

自分たちでブースをつくるメリットはいろいろありますが、主に以下の3つのメリットに集約されると思います。

  • 費用を割安に抑えることができる
  • スケジュールに余裕ができる
  • デザインに特徴が生まれる

まず費用面のメリットですね。展示会においてブースを制作してもらうとなるとどうしても数千ドル以上のお金がかかってきます。Cerevoではブースのデザインを社内のデザイナーに行ってもらい、現地のホームセンターで木材を調達し、ブースで加工し、ブースの制作を社員で行っています。1コマ(3メートルx3メートルほど)サイズのブースであれば、数万円もあれば材料となる木材やねじ類、塗料に、ペイント用の刷毛などを買い揃えてもお釣りがでます。

材料費以外に、材料を運ぶための車両費・輸送費や、会場に前入りするためのホテル代や社員の人件費なども発生しますが、外部のリソースを利用することを考えれば、トータルでもかなり割安で設営が可能となります。また会場に前入りするため、会期直前の到着日だと高騰しがちな飛行機チケットではなく、割安なフライトを手配できるというメリットもあります。

次に、スケジュール的なメリットです。ブースの設営を自分たちで行うため、会場への前入りは前提となりますが、ブース施工会社を利用する場合は、ブース業者の選定、デザインや設営についての打ち合わせなどでかなり工数がとられますし、かなり事前からスケジュールをひいていく必要があります。ブースを自主制作するのであれば、社内のノウハウを使いまわすことができますので、こうした準備のための時間をかなり短縮させることができ、緊急の出展でも対応することが可能となります。

3つめはデザインに特徴がうまれることです。ブース施工会社に依頼した場合、どうしても型通りの製品やキットを組み合わせたデザインに低コストなほどなりがちとなります。自主制作をした場合には、こうした既製品にはない他のブースとは違った雰囲気を出すことができるのも大きなメリットです。自分たちで制作を行わず、費用を極力抑えてブースを用意する場合は、スケルトンの骨組みにレンタルものの机と椅子を配置することになりますが、レンタルものは、IKEAで購入したほうが安くついてしまいかねない費用設定がなされていますし、ブースの印象がとても味気ないものになってしまいます。

材料を揃えよう

ブースを自主制作するには、どんな材料でもいいのですが、Cerevoでは壁として立てることもでき、安価でどこでも調達しやすい、木材を主に利用しています。国によっては、ホームセンターのサイトからオンライン注文で配送してもらうこともできますし、設計した壁や机用の部材の大きさに安価で切断してもらうこともできます。

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アメリカよりもドイツのホームセンターのほうが、きっちりとサイズをあわせて切断してくれますが、閉店時間にものすごく厳密で、閉店間際だと作業を受け付けてくれないということがありました。(ここはワークライフバランスと労働者の権利を重視するヨーロッパらしいところです)ある程度余裕をみて、材料の調達のスケジュールを考えておきましょう。またアメリカでは当然ながら切断サイズの指定はインチ単位となりますので、デザインを行った後、部材のサイズはインチでも計算をしておくのがおすすめです。

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材料を運ぼう

設営用の材料は、事前にブースまでの配達を申し込むことができればベストですが、そうできない場合も多々あります。

  • スケジュールが直前で間に合わない
  • ホームセンターが配送サービスを提供していない
  • 展示場内への配送業者が独占となっていて、配送料が高い

そうした場合、購入した部材を展示場内の自分たちのブースまで運び入れることが必要となります。搬入作業で各業者が入り乱れている中、搬入用のカートを貸し出してもらうことはかなり大変なので、基本的には手運びとなりますが、持ち運び可能なスーツケースなどに使える小型の折り畳み式カートがあるとこんな時に重宝します。

筆者は以前イギリスにいったときにヴィンテージのグローブトロッターのスーツケースを購入したのですが、このスーツケースにあわせて購入した折り畳み用のカートを、荷物を運び入れるときに活用しています。

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ブースの部材以外にも、展示会で配布をする大量のパンフレットなどを広い会場内のブースに運びいれるときに便利ですので、ひとつあるととても便利です。海外のAmazonなどでも販売していますので、展示会で宿泊するホテルに届けておくというのも手ですね(※ほとんどのホテルでは、通販の商品を受け取ってもらうのに手数料がかからないのですが、ラスベガスの大手ホテルは受け取り荷物一個につき$15の手数料をとることが多いので注意しましょう。送り先住所の氏名欄に、名前の後ろにHotel Guestと追記しておけば、スムーズに配達されます)

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(ちょっと無茶な感じですが小さなカートでも、このように木材を運んだりするときにとても役立ちます)

ブースを組み立てよう

材料を運び込んだら、ブースの組み立てを行います。ホームセンターで大まかなサイズに切り出された部材をジグソーで利用したいサイズへとカットし、木ねじを電動ドライバーやインパクトドライバーを使って回し、部材を固定していきます。

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こうした工具は現地で購入してもそれほど高くないため、ホームセンターで材料と一緒に購入することもできます。欧州では、日本の電動製品が使えないため、変圧器を一緒に持っていくか、現地で購入するかの選択となります。インパクトドライバーの充電に必要な電圧はかなり高く、旅行用の小型変圧器では不十分なため、かなり重たい変圧器が必要となります。持ち運びを考えると、欧州やアジアなど220-240V用の工具を現地で購入し、次に利用するときのために持ち帰るのが良いと思います。

木材の加工に役立つ工具やその扱いについては、「ホームセンターてんこ」という漫画でわかりやすく紹介されているのでお勧めです。
ホームセンターてんこ(1) (月刊少年マガジンコミックス)
とだ勝之
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組み立てが終わったら、部材の表面を紙やすりでみがいたあと、ペンキを塗れば完成です。慣れてくると短時間で作成したり、どのくらい時間があれば組みあがるか計算できるようになってきますが、最初のうちはスケジュールを多めに見積もっておくのが吉です。

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ブースを設営する作業時間は展示会によって異なっており、夜間作業が不可能なところや、夜間作業をするためにはナイトパスの申請を出す必要があるところなどがあります。会場のスタッフや、同じ会場でブース設営をするスタッフに挨拶をしておくといろいろと便宜をはかってくれることもあります。工具の貸し借りや、いらない部材のやりとりなどによって助けたり、助けられることもあります。

稀にですが、木材やねじなど必要な材料が設営中に足りなくなってしまった場合、Cerevoでは部材を他の人から現地調達することも。

最後のひと仕上げ

大まかなブース姿が見えてきたら、後の仕上げに入ります。

照明によってかなり印象が変わってきますので、ホームセンターでスポットライトを購入したり、日本からあらかじめ持ち込んでいく荷物として用意していきましょう。電圧が日本と異なる欧州では、照明器具や電球が日本のものが使えないため、現地で調達することになります。

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また、ロゴや商品紹介のプレートなどは、レーザーカッターで切り出したものを持っていいくと見栄えがします。都内ではDMM.makeをはじめ、レーザーカッターを利用できる設備が増えてきていますので、こうした場所を利用して仕上げ用の飾りつけを用意しておくと、ぐっとブースの印象を引き立てることができます。

ゴミ捨てから撤去まで

こうして作成したブースを活用して、展示会が終了したあと、最後に残っているのが撤去です。

アメリカの展示会であれば、大抵、会場内のスタッフが大型の手押しゴミ車で徘徊していますので、その中に捨ててしまえるものであれば無料で捨ててもらえます。組み上げた壁や机などをバラして、ゴミ車の中に入れてしまうだけです。

ヨーロッパの展示会では撤去やゴミを出すのにお金が発生するケースが多いです。大型のゴミ用ボックスや、ゴミ袋を購入して、その中にゴミを入れて退去します。持ち込んだブースの材料から、どのくらいのゴミ袋が必要になりそうか計算し、袋に入るよう、そしてかさばらないように部材を分解し、ジグソーでカットして、詰め込みます。

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(ジグソーでゴミに出す木材を切断してコンパクトにまとめたISPOミュンヘンでのブース)

また展示会場に持ち込んだもので、いらないものは展示会終了間際に、来場者に対して「無料(FREE)」と掲示して持って返ってもらえれば、ゴミの量を減らせ、コストを減らすことができます。椅子や机といった備品をレンタルするには、かなりコストがかかりますので、代わりにイケアなどで安いスツールを購入したりした場合は、このようにして現地の人に持って帰ってもらい、活用してもらいましょう。

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(ジグソーで切断することもできず、粗大ごみとなってしまうスノーボードの板を現地の人に持っていってもらいました。)

DIYなら何倍ものことができる

いかがでしたでしょうか。

ちょっとした工夫でできてしまうブースの自主制作ですが、このように自分たちでブースの制作をしている出展者は、他にはほとんど見かけたことがないのが正直なところです。(笑)

大変なように感じられたかもしれませんが、ざっくり材料費300ドル、その他備品100ドル、輸送費200ドル、追加の宿泊費200ドル+前泊して作業をする展示員の工数などで、外部にブース設営を依頼するよりも何千ドルも、場合によっては1万ドル近く費用を抑えるこことができます。

Cerevoでは年間10回以上、展示をしていたりしますので、すべてを外部に依頼したときに比べて同じ費用で何倍もの展示会へと出展することが可能となっています。展示会出展の損益分岐点が下がりますので、より多くの展示会に出展を検討することができるようになります。

来年の1月頭に開催されるラスベガスのCESでは残念ながらCerevo史上最大の展示スペースとなってしまたっため、さすがに外部にブース制作を依頼せざるおえませんでしたが、自分たちでブースを制作してきた経験が、外部に安価で発注するうえでも役に立ちました。

ハードウェアスタートアップに限らず、限られたリソースでチャンスを最大化していくためにぜひブースのDIYにチャレンジしてみてください。

そして、DIYは楽しいです。無事、ブース設営をしたあとは、地元の美味しいレストランでの料理を楽しみましょう(私が入社した早々のCESでは、午前4時まで飲まず食わずでブース設営、デニーズで朝食を食べて仮眠をしたあと、朝9時から展示開始なんていうことも。そうした経験も含めて面白い…ですよ。)

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(CES 2015のブース)