カスタマーサポートの心得[17日目]


本記事は、Cerevoスタッフが業務や趣味について思うままに書き綴るアドベントカレンダー企画「Cerevo アドベントTechBlog 2017」の第16日目です。

Cerevo アドベントTechBlog 2017
http://tech-blog.cerevo.com/archives/category/adventcalendar/2017/

こんにちは。カスタマーサポートのNです。今回は世の中ではあまり出回ることないカスタマーサポートの裏側についてお話ししたいと思います。

カスタマーサポートと言うといわゆる「クレーム対応」と真っ先にイメージが浮かんでしまい、怒られるのが仕事のように考えている方も多いのではないでしょうか。私も入社したての頃はそういうイメージを持っていました。

しかしながら、カスタマーサポートの仕事を続けるうちに、クレーム対応というのはあくまでもカスタマーサポートの一面的なものであり、カスタマーサポートとはお客様のもとで問題が起こった際にその問題を解決すること、問題解決ができない場合には将来解決できるように情報を集めエンジニアさんにフィードバックすること、そして究極的には問題そのもを起こさないようにすることが仕事であると思い至りました。

Cerevoのカスタマーサポート体制について

Cerevoでは、カスタマーサポートは電話では行なっておらず、メール対応のみとなっています。
これは、

  • カスタマーサポートのコストを抑えることで製品の価格を下げることができる
  • ニッチ向けであり、ある程度知識があることが前提となる製品が多い
  • メールであれば、実際の画面や状態の写真、動画などで情報量を多くできる
  • 解決するための優先順位を把握しやすい
  • 事実の整理に役立つ

などのメリットがあります。

逆に、メールのみで対応していることのデメリットとしては、

  • 応答の即時性に乏しく、問題の解決まで時間がかかる
  • メールを書くことがストレスに感じるお客様もいる
  • メンタル面でのケアがメールではむずかしい

といったことがあります。

ただし、電話対応にもデメリットはあって、話が長くなってしまった時に他のお客様を待たせることになり、全体としてのサポートのサービスのクオリティが下がってしまう可能性もあります。

本来であれば電話もメールも、あるいはチャットも、色々な連絡手段を用意できるのが一番いいのですが、企業としてどこまで力を入れるかはサービス設計に関わりすぐには変えることができません。

例えばカフェというサービスを考えてみると、自分で食器を片付ける事でその分安くコーヒーを飲みたい人と、少し高いお金を支払ってもいいので丁寧な接客を受けたいという人がいます。それぞれの人に応じて色々なカフェがあるように、ものすごく丁寧な接客で一杯一杯ハンドドリップで淹れて250円、というカフェでは経営が成り立たないでしょう。

Cerevoでは前述の理由からサポート対応をメールのみとしていますが、メール対応のみしかしていないのであれば、メールの良い面・悪い面を理解した上でお客様に臨み、例外的な緊急度の高い場合などは電話を使うなど、システムの上でできる範囲のことをする、という心がけが大事だと思います。

時代は「カスタマーサクセス」へ

さて、カスタマーサポートはどうあるべきで、どのようなサービスを提供すべきなのでしょうか。最近、ベンチャー界隈においてカスターサポートは「カスタマーサクセス」と言われており、どちらも英語にするとCSとなるのですが、この2つは思想がまったく異なります。

簡単にいうと、カスタマーサポートはあくまでもインバウンドの受け身であり、カスタマーサクセスは一歩踏み込んだ問題解決をする(問題を未然に防ぐ)という面があります。

カスタマーサクセスのスライドとして有名なのが下記資料です。

少し長いですが、とてもよくまとまっているので、カスタマーサポートの方や組織設計を考える人が読むと参考になると思います。

Cerevoが考えるカスタマーサクセスとは

これを踏まえて、Cerevoにおけるカスタマーサクセスを自分なりに考えてみました。

守: カスタマーサクセスとして最初に考えること

[To Do]

  • 敬語で丁寧な文章
  • 読みやすい文章を心がける
  • 拙速よりも丁寧
  • お客様の状況を正しく把握することに努める
  • 相手に何かを求めるときはその理由を提示する
  • 製品の使い方について自分自身で理解する
  • 専門用語に慣れる

まず、基本的にはカスタマーサクセストはお客様の問題を「丁寧に」「より早く」解決することが使命です。あくまでも目的は問題を解決することなので、焦って速く返そうとしすぎるあまり、お客さまの問題を理解できないまま対応してしまっては意味がありません。

日頃の訓練として、敬語の使い方や文章の書き方を意識することはもちろん、書いたメールをチームで回し読みしてどういう言葉の使い方がいいのかチェックし合うと、普段使わない言い回しを覚えたり、相手への配慮などが意識できるので、とても勉強になります。

また、普段の生活で不便を感じた時には、そのサービス提供者に問い合わせをすることでどのようなメールが返ってくるかみてみると、新しい発見があるのでおすすめです。

「答えは現場にある」という言葉の通り、よりよいカスタマーサクセスのためには、自分がよりよいサポートを受けるなど、日頃の研究が一番答えに近づけるでしょう。

破: お客様の問題を解決するカスタマーサクセス

[To Do]

  • 課題をテンプレート化して時間の無駄を削減
  • 製品の構造や仕組みを把握する
  • 専門知識を身につける(TCP/IP、映像規格、典型的なシステム構成……etc)
  • よくある質問を整理し、メールの文面だけでは読み取れない部分を脳内補完する
  • 相手の緊急度合いを見極めて対応順序を入れ替える
  • 平常運転から外れた例外対応のために社内調整をする
  • バグフィックスのマネジメント
  • 傾向不良のアンテナを張る

次に、お客様の問題を解決するためのカスタマーサクセスでは、一層深いお客様と製品の理解が必要になります。

まず製品は実際に使うにとどまらず、なぜそのような動きをするのか、どのボタンを押すとどうなるのか、情報がどのように流れているのか(問題が起こる表面ではなく裏側を知る)、機器の内部はどういうパーツが使われているのか、サーバーとはどういうつながり方をしているのか、システム設計のどの部分を担うのか、といった知識が必要です。

普段何気なく使っているだけでは気づかないようなところに気づくためには、徹底して触る、エンジニアさんに質問して分からないことをひたすら潰す、マニュアルを自分で書く、新機能のデバッグをする、といったことをすることが重要です。

また、弊社の機器では、自社で扱っている機器のみで完結せず、他の機器と組み合わせて利用するものも多くあります。そういう場合にはどのようなシステムに組み込まれることが多いのか、上流と下流とどのようにつながるのか、組み合わせて利用するサービスはどういうものでどのような種類があるのか、専門性の高い言葉は徹底的に調べる、インターネットについてプロトコルから理解する、といったことが必要になってきます。

知識が増えれば増えるほど、ニッチな質問にも対応できますし、お客様の文章だけではわからない背景も、想像力を巡らして的確な回答が返せるようになります。

また、サポート対応を重ねているとどうしても「以前にこんな対応をしていた」という前例主義になりがちですが、時には以前のルールでは対応しきれないケースも出てきます。そんな時も「これはルールだから」と切り捨ててしまうのではなく、お客様の問題を解決できる最後の砦として、多少ルールから外れた内容でも、社内調整をして例外対応をする、という踏み込みも、カスタマーサポートからカスタマーサクセスを目指すために重要な一歩です。

離: お客様の問題解決を超えた、問題そのものを起こさないようにするためのカスタマーサクセス

[To Do]

  • 使い方について、自社以外のサービスの使い方も解説できるようにする
  • 専門知識がない人に専門知識を伝授する
  • メール対応にこだわらず、必要とあれば電話もする
  • 新しい機能のネタを探す
  • よくある筆問・トラブルシューティングを追加する
  • わかりにくいマニュアルを直す

お客様対応のための知見が溜まっただけでは簡単にカスタマーサクセスを実現できません。カスタマーサクセスが目指すべきは、生じた問題を解決するのではなく、問題そのものを起こさないようにすることが最上でしょう。

自社が提供する情報がお客さまにとってわかりにくいのであれば、情報提供そのものを見直さなければいけません。また、時には情報提供ではなく機能そのものの改善が必要な場合、サポートとして集めた情報を次の製品開発に活用できるよう、エンジニアや商品企画に共有することも重要です。さらにはお客さまに対して自社の製品を含めたさまざまな情報を提供し、お客さま自身で問題解決ができるように尽力することも時には必要となります。

カスタマーサクセス担当者は時にプロダクトマネージャーであり、時にエバンジェリストであり、時には新製品の企画者でもあります。そしてなにより、お客様にもっとも近い立場であり、社内のエンジニアサイドともコミュニケーションが取れるポジションにいるサポートは、メーカーの中でも非常に重要な存在であり、受け身でいるだけではもったいないです。

カスタマーサポートはともするとコストセンターとして扱われがちで、とにかく省コストでやる事が良いように思われがちですが、よいカスタマーサポートは自社のブランド工場や製品の拡販にもつながる可能性があります。自分は会社の売り上げに貢献するという気概を持って、積極的にカスタマーサポートからカスタマーサクセスに概念を持つということが、私がサポートを通じて学んだことです。

 

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