[12日目] ハードウェア・スタートアップで非エンジニアは何をしているのか

kai kai

アドベントカレンダー12日目のカイです。12といえば1ダースであり、干支の数でも星座占いの数でもあり、2でも3でも4でも6でも割り切れる使いやすい数字ということで、そういうところは広報や営業はもちろん社外との渉外も含めて事務系業務をいろいろと引き受けている自分には奇跡的にぴったりなタイミングとなりました。

ハードウェア・スタートアップにおいてもっとも重要なのは製品を開発することであり、それを担当するエンジニアでありますが、ハードウェアを企画し、それをお客さまにお届けした上で満足して使っていただくために、目立たないながら事務系の業務もハードウェア・スタートアップを支えています。今回はなかなか表からは見えにくいハードウェアに関わるCerevoの事務系業務が何をしているのか、を簡単ながらご紹介したいと思います。

広報(PR)

代表の岩佐がライター経験を持ち、私自身も7年ほどWebメディアの編集記者をしていたということもあって、広報活動は非常に重点を置いています。というよりスタートアップのような小さな企業組織において、広報・PRの観点は最重要の戦略、といっていいほどの位置付けです。

以前に個人ブログでもスタートアップの広報活動について言及したことがありますが、誰もが名前を知っているような大企業と違い、スタートアップはまず「世の中に知ってもらう」ことが最重要。どんなにいい製品を作っていても、製品そのものを知ってもらえないのではまったく意味が無いですし、Cerevoの掲げる「グローバル・ニッチ」戦略は、ニッチでもより多くの人に知ってもらうことで成果を出すという考え方なので、ますます広報活動がその重要性を帯びてきます。

基本的な業務としてはニュースリリースを書いたり発表会を開催したり、メディアの方からいただく取材に対応して立ち会ったり、などが中心ですが、Cerevoの場合は製品そのもののコンセプトとPRが深く結びついているものもあるため、製品開発のタイミングで広報として入り、「この製品を一言で表すとどんな製品なのか」みたいなところからエンジニアと議論を交わすこともあります。

また、「社外に出す文章」の責任を負う立場として、マニュアルやパッケージ、Webサイトの文言などの監修をサポートすることも。本来であれば専門の部署があっていいような業務内容ではありますが、Cerevoのような規模の人数ではそうした専門部署を用意するような余裕はなく、文章に関する業務はできる限り広報でもフォローしていたりもします。

営業

自社の製品を直販サイトで販売するだけで利益が上げられる、というのはハードウェアにかかわらずどんな製造業でも同じ夢を描くと思いますが、なかなかそれは難しい現実です。インターネットがこれだけ普及していても、Webの情報発信だけではなかなかすべての人に行き渡りません。特にハードウェアは「実際に手に取ってみたい」というニーズもあるため、実際の店舗で販売するというのも営業面で実に大事な要素です。

ちなみにハードウェアで起業したばかりの人と話すと「家電量販店でうちの製品を置いてもらいたい」という話を耳にすることもしばしばありますが、実はこれを実現するには大変長い道のりがあります。というのも家電量販店のような大きな規模になると直接メーカーと取引しているケースは非常に少なく、多くは「流通」と呼ばれる中間の代理店を挟むことになるからです。

販売店だけでなくこうした流通との契約を結び、販路を開拓するのが営業の大事な仕事。製品を知ってもらうPRもスタートアップにとっては重要ですが、それと同じくらい「販売先を開拓する」というのも、実際にお客さまへ製品を届けるために大事な業務です。特にCerevoの場合は海外でも製品を展開しており、言葉はもちろん慣習も異なる海外を飛び回る海外営業は、「グローバル・ニッチ」のグローバルを実現する大変で重要な役割です。

ものを売るだけがCerevoの営業ではありません。発売前の試作機を持って販売店やターゲットとなるユーザーへヒアリングし、そこで得られたフィードバックを開発に活かす、というのも大事な仕事です。特にCerevoではCESのような大きな展示会で発表し、実際の発売は後日、という製品もあるため、発表から発売までのタイミングでそうしたフィードバックを集めて製品をブラッシュアップしていく、ということもあります。

物流

販売だけでなく開発の面においてもCerevoに必要不可欠なのが物流業務。海外の工場から世界各国の倉庫へ、倉庫から販売店やお客さまへという物流はもちろん、Cerevoでは生産に必要な部品類をすべて自社で調達し、それを工場に送り込んで生産してもらうという開発形態を取っているため、製品の生産においても物流は重要な役割を果たしています。

国内の物流だけだと意識する機会は少ないかもしれませんが、こと海外の物流ではいろいろな課題があります。輸出に当たって必要な認可の取得や書類作成は国ごとに異なるため、輸出先、輸入先が増えるたびに業務は増えていきます。書類の不備があれば海を渡る前に物流がストップすることもありますし、時には自然災害や天候の影響で飛行機が飛ばず、そもそも出荷ができないなんてことも。

さらに最近ではバッテリーの問題も大きくなってきました。IoTと呼ばれるネット連動、スマホ連動のハードウェアは何かしらの形で電気が必要であり、そのためバッテリーを使う製品が非常に多いのですが、昨今の報道でも知られる通り、バッテリーの輸送はここ最近非常に厳しくなっており、バッテリー輸送に伴う手続きもより煩雑なものとなっています。

販売だけでなく生産も含めたほぼすべての工程で必要となる物流だけに、物流が及ぼす影響範囲も甚大。部品集めや出荷などが遅れることで発売日はもちろん開発スケジュールにも影響があるだけに、表からはなかなか見えないけれどCerevoを陰で支える非常に大事な存在です。

調達

前述の通り、Cerevoではハードウェア生産に必要な部品も自分たちで調達しており、部品を調達する専門の部署もあります。当たり前の話ですが設計図通り作るには部品が1つたりなくても作ることはできません。エンジニアが設計した内容通りの部品を規定の数だけ集めてスケジュール通りに工場へ送る、これは一言で言うと簡単に思えますが、実は非常に大変な業務です。

部品を買うと言ってもお金を出せばすぐに買えるというものではありません。ハードウェアの世界では「MOQ(最小発注数量)」というものがあり、100台で注文するのと1000台で注文するのでは部品1つの値段が大きく変わります。部品の値段が変わればそれは製品の販売価格にもシビアに反映するため、「いかに部品を安く仕入れるか」は、お客さまへ届ける価格を下げるために大事なテーマです。

価格はもちろん数量も、ある程度の数量になると仕入れるまでに時間がかかることもあります。部品を手に入れる時間がかかればこれも当然ながら開発スケジュールに影響を及ぼすため、予定通りの発売日に製品をリリースするために、逆算して部品調達のスケジュールを引き、それに合わせて適切な数量を適切な価格で調達することが、外からは見えにくいけれど製品の価格や発売日に大きく貢献しているのです。

さらには在庫管理にも調達は大きな役割を果たしています。初回生産の在庫がある程度少なくなってきたタイミングで、次の生産に必要な部材を調達するのですが、時間が経てば価格が変わったり、そもそも部材がディスコン(生産終了)してしまって入手ができないなんてこともあります。そうした事態に備えて常に部品の状況を把握しておき、万が一ディスコンになっても別の部品を調達できるような準備も必要。それを各製品ごと異なる部品すべてにおいて体制を作っておくという、非常に多岐に渡る大変な業務のおかげで、Cerevoの製品は開発できているのです。

サポート

ハードウェアはお客さまに販売して終了、ではありません。その後の故障や初期不良、予期せぬ不具合などに対応するサポートは、お客さまと直接やり取りをする窓口として、これまたハードウェア・スタートアップに大事な業務です。

数年前まではライブ配信機器が主力だったCerevoも、今では玩具やスポーツ用品、電子基板やロボットなど、製品ラインアップが非常に多彩になりました。おそらくハードウェア・スタートアップの規模でこれだけ異なる製品を扱うというのは、世界でも類を見ないのではないでしょうか。

こうした多岐に渡る製品の知識を、カタログスペックレベルではなく実際に使う利用者の立場で把握し、お客さまからの要望に対して的確に回答していくのは簡単ではありません。お客さまの中には製品を利用するだけの知識がなかったり、そもそも使い方を間違えていたりということも正直言って少なくありません。そうしたお客さまとのやり取りの中から適切な回答を導き出して課題を解決するのは、単なるテンプレート回答ではカバーしきれない、読解力や先見性の必要な業務です。

営業同様、サポートが製品開発に寄与することも少なくありません。お客さまから寄せられる相談の中から製品の不具合を発見したり、よりお客さまが使いやすくなる製品の機能をエンジニアに提案して実装してもらう、ということはCerevoの中では当たり前のように起きており、製品の満足度を向上させるためにも大事な役割を担っています。


以上、Cerevoの製品開発に関わる事務系業務をいくつか抜粋してご紹介しました。もちろん、会社として成り立つためには経理や総務、人事など他にも大事な業務がいくつもあります。部材調達に必用なお金のやりくり、オフィスをより快適に過ごすための総務、新入社員の対応や福利厚生面の対応など、ハードウェアを開発するためにこうした事務系人材はエンジニアと同等に重要な業務パートだったりします。

年間に10製品リリースを目標に掲げ、大量の製品をラインアップした結果、こうした事務系の人材もまだまだ手が足りていません。ハードウェアに興味はあるけれどハードウェアに関わった経験がないという人でも、Cerevoではさまざまな形で開発に携わることができます。弊社で活躍する事務系人材には、ハードウェアとはまったく異なる業界で働いていた、なんて人も少なくありません。

なんだかんだでCerevo4年生となり、だいぶ古株扱いされるようになった私が思うに、Cerevoのようなハードウェア・スタートアップで大事なのは経験よりも、経験のないことでも果敢に立ち向かうこと、マニュアルにないことでも自分で目的を探して前に進める人、そして失敗を恐れず、自分の失敗から何かを学んで次につなげられるような人であれば、むしろ経験がないまっさらな人のほうが向いているのかもしれません。

人数は100名近くまで多くなったけれど、それに伴い製品数も増えた結果、まだまだカオスで猫の手も借りたい状態の続くCerevo。「ハードウェアに興味あるけど自分には経験がないな……」「事務系だとハードウェアにはあんまり関われないかな……」なんて人も、興味をお持ちいただけるのであれば遠慮なく採用窓口までお問い合わせください。