[18日目] ぷらっちっくのかんたんなお話。身近なものでバキューム成形

去年につづいて今年も性懲りもなくアドベントカレンダーに参加します、デザインエンジニアのしんじろです。最近だとMKZ4のステアリング機構の設計を担当しました。

今回は多くの製品に使用されているプラッチック(プラスチック)についてちょっとだけお話したいと思います。

プラスチックとはなんなのか

工業製品で使用されているプラスチックですが、プラスチックという単一種類の材料を指しているわけではなく、ものすごく多種多様なのはご存知でしょうか。
プラスチックというのは自動でポコポコできるイメージ(確かに量産が始まるとポコポコできますが……)ですが、割りと職人さんの感と経験とか生産地の季節気候なんかが影響する生物(なまもの)みたいなものだったりします。

しかも、普段プラスチックに触れているエンジニアの方々もすべての素材を使用したことがあるような方はほとんどいないでしょうし、完全に特性を理解している人も稀でしょう。
んで、駆け出しの工業デザイナーさんやスタートアップのハードウェア起業家さんがかっこいいアップル等の商品力を目指し、かっこいいデザインを求めて無茶な形状にしてしまい、生産前になってトラブってしまうケースが多々あります。

そう、かっこいい商品作りたい、私もそうです。気持ちはわかります、えぇ、わかりますとも。
が、しかし、プラスチックは万能な素材ではなく、特性もあれば欠点もあります。不向きな形状やデザインもわりと多く存在します。

一見なんでも自由な形状が作れます。ですが、複雑化すればするほど、その分大幅にコストがあがります。
大手企業の場合は大量にを作ることで、その分コストをかけてそれらを解決してる場合も少なくないようです。

とはいえハードウェア・スタートアップな仲間を始め個人での製作にはそんなコストはかけられません。
そんなわけで、プラスチックを製品に使用する上で、頭の片隅に入れておいたほうがいいポイントが6つあります。

設計をプラスチックで考えるときのポイント

1・色選びは慎重に

製品の色に真っ白とか真っ黒を選択するのは避けましょう。きれいなその通りの色を出すのは結構なコストが発生します。
そのほかにも車などで汚れが目立ちやすい色はハードルが高いと考えてください。また発色のいい色は退色の問題も含んでいます。極力、色に多少のバラツキがでてもわかりづらい色を選択するのは重要です。

2・シンプルな形状にご注意

垂直とか水平、直交とか狭い面積だったら成功率は上がりますが、面積が広ければ広いほど長ければ長いほど難易度が上がります。
プラスチックは成形時又は整形後に意外と変形します。

3・表面仕上げでの冒険は……

テッカテカの高光沢仕上げや、規則性のあるテクスチャ(これが色々あって目移りするほど)はこだわりたくなるのもうなづけます。
ただ、板キレの状態や単純な円筒形状でもない限りトラブルが起きる可能性は結構高いと考えてください。

4・細い、鋭い形状は結局危ない

鋭利な角(シャープエッジ)はかっこいいけど、ちょっとぶつけたら割れるとか、触れたら怪我をする懸念があります。また成形時にトラブルが起きる可能性も高いので、避けた方が無難でしょう。

5・複雑な嵌合は避けよう

「バンダイのプラモデルとかレゴブロックはきれいに各パーツ同士がはまるじゃん」とおもいますよね。えぇえぇそうですとも、それが製品の生命線ですし、製作者の技術(共に各国内生産)は世界でも屈指です。
そしてそれらの生産数量はとてつもない量なので、ある程度コストをかけることができます。少数ロットでコストをおさえて……という場合にはもちろん不向きです。

6・基本の製造行程は製氷トレイをイメージする

製氷トレイで氷を作ったことはあるでしょうか? 氷ができたらトレイひっくりかえして氷がバラバラ出します。プラスチック成形も基本的にはあのような抜き形状だと考えてください。取り出しはピンで押出したり、型を割ったりと様々です。このような型から抜く際のハードルが上がる=複雑な形であると、さらにコストがかかったり、問題が起きやすくなります。

これらを加味していくとな~んも好きなことできないじゃん……と思われがちですが、実際世に出ている製品見ても上記が当てはまらない場合もあります。それはエンジニアがうまく考えてやってたり、工場によって得意不得意あったりしますので、頑張って付き合ってくれる工場やエンジニア探してしっかり話をすることも大事です。
場合によっては「こうしたいんだけど、どうしたらいいかな?」って聞いてみると解決策を提示してくれたります。

 

身近なものでプラスチック成形にチャレンジしてみよう

ここまではプラスチックの大枠のお話でしたが、実際にプラスチック成形を自分でやってみたらより理解が深まるとおもいます。ということで身近なものでプラスチック成形にチャレンジしてみましょう。

DIYでできるプラスチック成形といえば、カヌーやヘルメット等に使用されるFRPと商品パッケージ等に使用されるバキューム成形がよくあります。今回ホームセンターや100円ショップのものを集めてできるバキューム成形にチャレンジしてみたいと思います。

必要なもの

まずは資材一覧です。

①箱:
A4くらいの大きさと、掃除機のノズル(直径4cm位)が刺さっても余裕がある深さのトレイ状の箱。
今回はホワイトウッド1×6材3フィート材をカットして外枠を作り、5mmのベニヤを底面に貼り掃除機ノズルサイズの穴を開けました。

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バタバタしながら作ったので作り荒いけど大丈夫w


 

②枠:
成形の材料を貼り付けて固定する枠が必要です、100円ショップにある額縁がそのまま使えて簡単です。

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③タッカー:
枠に材料を打ち付けて固定するのに使用します。取り外しに手間がかかるので、もっと楽にって人は両面テープでもいいかもしれません。

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タッカー


 

④掃除機:
バキュームするのに掃除機が必要です、家庭用で十分です。

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小型掃除機


 

⑤カセットコンロ:
直火が怖い方は電気コンロでもいいですが、IHでは熱が空気中に出ないので材料が加熱できませんのでコイルの物をチョイスしましょう。

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自宅にあったカセットガスコンロ


 

⑥原型:
これは成形する形状の元になる物です。プラスチック成形というと金型等金属型を思い出しますが、今回はある程度の硬さがあればなんとかなります。今回はコペンのミニ四駆を使うことにしました。フロントガラスがボディと同色で埋まってるのが気に入らないので、これを機にフロントガラスのパーツを作ってみます。

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ミニ四駆コペンのボディです。


 

⑦成形台(パンチングメタル等):
箱上面に蓋をするように設置します。ピッチで穴を開けておりここから吸気されていきます。
今回はピッタリはまるようにレーザーカッターで専用品作っちゃいました。

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成形台


 

⑧:両面テープ、ガムテープ等:
各所接着、固定に使用します。

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⑨成形材料:
今回はPET材の0.5mmを使用しました。ただ、0.5mmってDIYバキュームにはちょっと厚めなようで、もう少し薄いものを選んでいただくとよさそうです。
※ちなみにポリスチレン板は熱を当てると縮んでしまうので使えません。(ごめんなさい、材料の写真撮るの忘れました)

自宅バキューム成形のやり方

これで道具と材料の用意はできたので、いよいよ成形してみましょう。

作業の順番としては、加熱装置ON→材料加熱→材料が柔らかくなったら掃除機スイッチON→材料枠押し付け→各所スイッチOFF、となります。
動画では端折ってますが、1分位は加熱してます、火に近づけすぎると白化したり穴が空いてしまうので注意してください。

バキューム成形の手順

ステップ1
箱の開口部にノズルを固定する、隙間があるとそこから空気が抜けちゃいますので、しっかり穴を塞ぎましょう。

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ステップ2
箱上部口にパンチングボードを両面テープで取り付けます、こちらも隙間のないように。

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ステップ3
ノズルに掃除機を取り付けて試運転、パンチングボードの穴からしっかり空気が吸引されているかチェックしましょう。

ステップ4
原型そのままでもできなくはないですが、あとの取り外しが大変になりそうな形状の場合は粘土等で穴を塞いだりしましょう。

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今回は粘土でフェンダーを塞ぎました。

ステップ5
材料を縁にタッカーで打ち付け、しっかり固定します。

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ステップ6
最後の仕上げです。今回は必要な部分がフロントガラス部だけなので、ここを後ほど切り取って完成です。

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なんだかお遊び程度の成形のように思えますが、商品パッケージに使用されるブリスターパックなんてのはこれとほぼ同じ原理で成形されています。つまりパッケージ試作なんかはこんな方法でもできるってことですね。
自宅でかんたんにできますので、みなさんもチャレンジしてみてください。

ではまた~

[17日目] 自撮り棒はもう古い⁉これからは自撮りパラシュートだ

こんにちは。電気設計担当のスン&メカデザイン担当のINDです。
アドベントカレンダー17日目は、弊社で販売しているCDP-ESP8266ことESP-WROOM-02の使用例としてあるものを製作しましたので、紹介していきます。


さて突然ですが皆さん、自撮り棒にはそろそろ飽きてきた頃ではありませんか?

撮影者も一緒に写ることができるという非常に便利な自撮り棒ですが、アングルやポーズが固定されてしまうという弱点があります。
常に最先端を求める皆さんは、そろそろこのバストアップショットだらけな現状からの脱却を狙っているのではないでしょうか。
そんなあなたに向けて、今回はスマートなソリューションをご紹介いたします。
それがこちら、パラシュートカメラです。

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パラシュートカメラとは、その名の通りパラシュートの付いたカメラです。

使い方は簡単。パラシュートカメラとスマートフォンをWi-Fiで接続。カメラを空高く投げ上げてから落ちてくる間に、後述するスマートフォンアプリを使ってリモートでシャッターを切ります。

パラシュートカメラによって、上空からのアングルで自撮りをすることが可能となるのです!
★IMG_2602

では、撮れた写真に行く前に、テックブログとしてまずはパラシュートカメラの作り方を解説していくことにしましょう。
まずはスンから電気設計について解説していきます。

パラシュートカメラ製作のために用意したもの

 

電気設計

接続図

paracam_ブレッドボード2
この接続図は見栄えが良かったのでFritzingというアプリで作ってみました。ライブラリの関係上、実物と見た目が少し違うものがありますが、どうか大目に見てください(笑)。

カメラモジュールはUART、microSDスロットはSPIでの通信なので、それぞれ対応したピンに接続します。
また、LiPoバッテリー電圧が3.7Vなのに対し、カメラモジュールは5V駆動ですのでDCDCコンバータのモジュールで昇圧します。ただ信号線(Tx,Rx)は3.3V入出力ということなので、CDP-ESP8266とそのまま接続できます。
LiPoバッテリーについては、容量が大きいとその分大きく重くなり、パラシュートの落下速度に影響してしまうため、今回は250mAh程度の小さいものを使用しました。

実際に配線するとこのようになります。
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ソースコード

まず開発環境ですが、今回はArduinoIDEを拡張して使いました。
拡張の手順はこちらを参考にしています。

それぞれのモジュールを動かすためのコードは、ネット上に公開してくれている方がいるのでそちら参考にさせていただきました。

また、カメラのシャッターボタンとしてはiOSCというiPhoneアプリを使用しました。
アプリ内に配置されたボタンを押すことで、ボタンに設定したデータをUDPパケットとして送信できます。そのデータをESP8266が受信すると、撮影の処理が走るという仕組みです。
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▲iOSCの操作画面
 

参考にしたサイト

完成したソースコードはこちらです。
https://github.com/MasatoOshikiri/Cerevo_techblog_Sun
 

メカ設計

筐体について

ここからはスンとコンビを組んでるINDが解説していきます。
スンとは一緒に仕事したことないけど仲良しです。

今回のメカデザインで気を使ったことは、以下の2つです。

  • 重心が下に来るようにすること
  • 落下時に回転しないようにすること

設計にあたり、まず重心が下に来るように部品を配置するために、各々の重さを測ります。
測ってみると重そうに思えたバッテリーが意外にも軽かったので、下図のような構成にしました。基板間は厚めの1mm両面テープで固定します。
microSDと電源スイッチのみ、筐体の外側から使用できるようにしておきます。
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落下時に回転しないようにするために十字のフィンの構造にしました。

普段、部品の配置の際はサプライヤーや電気設計エンジニアから部品の3Dデータをもらって設計を進めますが、今回はそのようなものはないというか時間がないので、ノギスで部品を計測しながら設計進めました。ですので攻めすぎない設計にしています。
モデリングはfusion360を使用しました。

レンダリングをするとこんな感じです。
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3Dプリンターで出力する

社内にある3Dプリンターを使用しました。
構造を簡易的に検討する際にはとても便利です。
Print

実際に撮ってみる

上記、スン作の回路・ソースコードでなんとか動作したので、さっそくIND作筐体に組み込んで、青空の下、撮影を行ってみることにしました。


カメラを投げるのがすっかりプロ級になったIND氏。このパラシュートカメラが降りてきたタイミングでシャッターを切ります。

するとどうでしょう……

★PIC04
アホ面下げたおっさん2人の、上アングルからの写真を撮ることが出来ました。
気を付けなければならないのは、撮影時の風と光です。風が強く吹いているときに投げると簡単にパラシュートが飛ばされますし、影になっている場所や日暮れ時に撮影すると画像が暗くなりすぎてしまいますので気をつけましょう。
暗さについてはカメラの性能によるものでもあると思うので、もっと良いカメラを使用すればその点は解決できるかもしれませんので、カメラの選定時によく検討してください。

パラシュートカメラを使いこなすことができれば、あなたのSNSはさらに彩り豊かで充実したものとなり、沢山の「いいね」で満たされることになるでしょう……!
パラシュートカメラ、皆さんもいかがでしょうか?

以上、アドベントカレンダー17日目でした。

 

「祝」

撮影成功
★PIC00_1_2

[16日目] Cerevo製品ネタネイルコレクション2016

こんばんは。外に出るときもう一枚なかに着込もうかなと考え始めた広報のあくやんです。

わたしの妹がネイリストをしているということもあり、Cerevo入社前から変なおもしろいネイルをするのが好きです。
とはいえいわゆるネタネイルというのはまぁけっこうネタが尽きてしまいがちなのですが、いまのわたしはネタ切れということがありません。なぜならこんなにもネタ(製品)に囲まれているからです。やったね!

ということでただの自己満足はありますが、2016年どんなネイルをしてきたかを載せていきたいます。
 

CESネイル

1月は年明けそうそう、ラスベガスで開催されたCES 2016にCerevoは出展していました。
CES 2016では変形型ロボットプロジェクター「Tipron」、金属3DプリントパーツでできたIoT自転車「ORBITREC」が新製品として発表されました。なので、その2つの製品の一部もポイントにいただきつつ、CESカラーにしています。

akuyan _photoさん(@akuyan)が投稿した写真


 

DOMINATOR ネイル

2015年7月に発表したDOMINATORが2016年の春先に販売開始されました。
DOMINATORといえば、パラライザーからエリミネーターに変形するのはもちろんですがLEDをぜいたくに217個もつかっていることも特徴の1つ。なので、ネイルも光らせたいなとおもって蛍光塗料を調達してネイルのジェルとまぜてみました。夜ねるときに爪が光ってて1人で楽しんでました。

akuyan _photoさん(@akuyan)が投稿した写真


 

Listnr ネイル

周りの音をひろってサーバにアップし音を解析できるスマート・マイク「Listnr」ですが、実はCES 2016のときに製品版は初お披露目だったので、CESネイルにもポイントでこそっといれていました。見た目がまるっこくてかわいいのと発売を勝手に記念して改めてネイルに。
写真だとわかりづらいですが、白のフレンチの上にカラフルなチークネイルでListnrのLEDの雰囲気を出そうと試みました。

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Cerevoネイル

6月1日に入社したので、6月にはいったのにあわせてCerevoネイルにしました。
それとあわせて3Dプリンタでネイルチップをつくったりできないかなぁと、遊んでいた写真と混ぜています。Cerevoに入るまで3D CADとか触ったことはなく、ずっとweb制作をしてきましたがCerevoの皆さんに色々教えてもらって少しさわれるソフトが増えました。

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スノボの滑りを可視化するスマート・ビンディング「SNOW-1」、電動フル稼働「DOMINATOR」、IoT開発モジュール「BlueNinja」、Googleカレンダーと連携するスマート・アラーム「cloudiss」、サイクリング状況を共有できるスマート・サイクルデバイス「RIDE-1」のモチーフをちょこちょこいれています。どれがどれかわかったあなたはきっとCerevoマニアです。ありがとうございます。
 

MKZ4ネイル

ミニ四駆をスマートフォンで操作できるように改造するワークショップを2015年からはじめていましたが、とても好評いただいた結果、改造キット「MKZ4」として販売することになりました。もともとは社内のエンジニアさんが、Cerevoで売っているESP-8266を使って遊びで開発していたものだったのですが、まさかこんなに進化するとは。噂だとまだまだ進化中のようです。

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Cerevoにいなければミニ四駆をつくることはなかったかもしれません。
 

Hintネイル

9月にめでたくクラウドファンディングを達成した、Bluetooth搭載のラジオ「Hint」です。
ニッポン放送社、グッドスマイルカンパニー社と共同して現在ごりごり開発がすすんでいます。製品版でラジオをきいたり、ビーコン機能でURL取得できるようになるのが楽しみです。

akuyan _photoさん(@akuyan)が投稿した写真


 

こういうネタネイルしていると、どんな風にネイルのデザイン考えてるのか聞かれることがあります。
何も考えずに製品みながら「ここはこうしよう」と決めていく場合もありますが、きもちに余裕があるときはこんなかんじでかんたんにデザインをつくります。

nail

実は親指だけはずっと、Cerevoのロゴマークをモチーフにしたフレンチネイルを続けています。
これはわりと普通にみてもオサレ感高いのではないかなとおもって、社内で流行らせるためにUVプリンタでネイルシールでも作ろうかなと考えたりしています。

ネタネイルでもいいかんじに!が個人的なテーマなのでネタだと他の人からわかりづらいときもありますが、ネイルなんて100%自己満足なのでいいんです。キーボードを打つときに、改札にSuicaをかざすときに、ペットボトル持った瞬間にテンションが上がればそれで十分です。
次はどのネタにしようかな。

[15日目] 不具合を発見したときのテストレポートの心得

こんばんは。稲垣です。組み込みプログラム担当として、CEREVO CAM live!やLiveShellシリーズなどのライブ配信系製品をずっと作っています。

今回は製品やサービスを開発するなかで避けて通れないテストレポートとかバグトラッカーのチケットとかを書くときのテクニックを社内向けにまとめた内容をTechBlogに持ってきました。題して「テストレポートの心得」。前半がテクニック本体で、後半が今回ブログ向けに追加した効能とか背景の解説となっています。それではどうぞ。

テストレポートの心得

テストの結果、不具合を見つけたら再現方法を報告しましょう。 この心得を読めばきっと突っ込まれないレポートができるはず。

標題と概要の心得

まず、どんな不具合を起こすかを端的に書いて標題にします。

標題だけで書ききれない場合は概要を書きましょう。1つの手順で複数の不具合が起きる場合、箇条書きにしましょう。

どこが不具合なのかはっきりさせて書くためには、どのような挙動に直すべきかを考えて、対比させてみるとよいかも知れません。

再現方法の心得

次に再現方法を記録します。再現方法は、読んだ人が同じように操作して再現できるように記録しなければいけません。

いろいろな解釈ができる書き方は再現方法の書き方としてよくありません。同じことをするのに複数の方法が考えられる場合、どの方法をとったか明記しましょう。それはつまり、何をどのように操作したか、何をどんな方法で観察したのかを説明するということです。操作だけでなく観察の方法もしばしば複数あります。

再現方法は事実の記録として書くべきで、全て過去形で「何々した」という記述の羅列になるはずです。タイミングが重要である場合 (タイミングによって再現しなかったとか)、「すぐに何々した」とか「何分間待ってから何々した」などをきちんと記録しましょう。再現方法を書いたら、その方法で本当に再現するか試してみましょう (ただし正常な動作を続けられなくなるような重大な不具合は早めに報告した方がよいでしょう)。

何回実験して、何回不具合が再現したかを記録しましょう。1回試して1回再現したのと、10回試して10回再現したのとは違います。

よくない記録の例

「動かなかった」
「何々しなかった」

期待したとおりに動かなかったことは、不具合として報告されている時点で自明です。このような記述から読み取れるのは、あなたの願望と、それがそのとおりにならなかったということだけです。

実験の結果には「どうなったか」を記録するべきです。「どうならなかったか」は書かないとそのほかの事象とまぎらわしい場合だけ記録すれば十分です。たとえば天気の記録を付けるのに、「雨は降らなかった」とだけ記録することがあるでしょうか? 必ず「快晴」「曇り」「雪」などと実際の天気を記録するはずです。

考察の心得

最後に、なにか考察を書きたければ書いてもかまいません。最後に書くのは、事実の記録である再現方法とあなたの推測を区別するためです。事実と想像を混同してはいけません。

不具合の原因についてなにか推測したのなら、それを検証するための実験を考えた方がよいでしょう。

FAQ

これは本当に問題なのか? と思ったら

「俺がルールだ」と思っていただければ結構です。これっておかしいんじゃないの? と思う部分はきっと他のユーザもそう思うでしょう。そういうところには直すかマニュアルやFAQでフォローするかの対策をすることになります。

再現条件をどこまで絞り込んでチケットにするか

必要十分条件を最初から見つける必要はありません。再現方法には事実だけ記せばよいのですから、十分条件が分かっていればよいのです。たとえば10分しか待つ必要がないことが後から明らかになるとしても、30分待って再現したのならまずはそう書けばよいのです。

解説

心得編はいかがでしたか。基本的には大学なんかで実験レポートを書くときに教えられることだったんじゃないかと思いますが……。ここからは背景の事情とかの解説編です。

複数の方法

LiveShellみたいな製品を作っていると、たとえばある設定を変える操作がDashboardからでもできるし、本体のキーを押してもできるということがあります。そして片方でしか問題が起きないことがあったりします (大抵両方で起きます)。本体のUIも頑張って作ってますから使ってください。

観察の方法が複数あるというのも同じ事情です。たとえばビットレートの表示はDashboardにもあるし本体にもあります。これがDashboardの表示だけおかしいとなると、web側の問題である可能性が高いので組み込み担当はホッとします。どこが問題か分からない書き方をされると余計なところにまで無用な不安が拡がります。

過去形で

過去形で書くのは科学的に大変重要なことです。現在形で書くとどうなるか。「フリーズする」。今まさに目の前でフリーズするってときだけは適切な言葉です。しかし何もないのにフリーズするフリーズすると言うと、それは公理や定理の書き方です。つまりそれが真実であると主張していることになります。「お前のプログラムはフリーズする……それが永遠の真実、世界の理 (コトワリ)、変えられない運命なのだ」。呪いですね。プログラマに恨みでもあるんでしょうか。

これが過去形で書いてあると、途端に過去の一個の事象に格下げとなります。あのときはフリーズした。でも将来は分からない。他の人が操作したら違う結果になるかも知れない (ヒューマンエラーだ!)。一挙に謙虚になりました。美徳ですね。

「『フリーズした』なら使ってもいい!」

何回実験したか記録する

サンプリングというのは回数を増やすほど信頼性が高くなります。1回試して1回起きただけだと、追試してみたら本当に1回しか再現しないこともありますし、忙しいときはそんな再現するのかしないのか分からない事象にはなかなか手が出せません。全部の個体で起きるとも限りませんしね。これが10回試して10回再現したとか百発百中とかになると、自分の個体でも出荷した個体でもそこでもここでも再現する可能性が高まってきます。ヤバい。

よくない記録

「動きません」。ありがちです。エラーメッセージくらいは報告してほしいものです。エラーメッセージの目的の半分は報告してもらうことにあります。ちなみに残りの半分は「やさしさ」です。解決の糸口になりそうなことも書いておきました。できれば自力でなんとか。

「フリーズした」。「画面が動かなくなった」と同義です。「○○しなかった」の報告は情報量が少なくてツッコミ返す必要があるから手間なんですよね……本当に何をしても動かなかったの? 何をしたのか列挙してみて? なんだACアダプタの抜き差しを試してないじゃあないか。ホラ、インジケータが変わった。フリーズはしてないでしょ。使いものにならないことには変わりありません。でもネチっこく絡まれます。

最後に

「過去形で書け」とか大学で実験レポートを書くときに必ず指導されることで、リアルに「あっこれゼミでやったやつだ!」と思える内容だったかも知れません。社会人の方々には昔を懐かしみつつ、一つでも「あれはそういうことだったのか」と納得していただけたら幸いです。まだ学生の皆さんはしっかり勉強して、勉強したことが役立つ仕事ができるように頑張ってください。この心得があなたの心に残って、素敵なレポートライフの一助となることを願っています。

Happy Hacking!

[14日目] 海外へのフライトでスーツケーツがなくなったときの対応あれこれ

Blogは書いたことがないのでとても緊張しています、海外営業の三寺(みてら)です。
今年は4月から色々な国に出向きました。1年を振り返ると欧米をはじめとした色々な国へ行き、なかでも初めてアジア圏で仕事ができたのはとても良い経験になりました。

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さて、普段涼しい顔をして海外出張に行っているのですが、実のところトラブルも多くあります。
今回は、パスポートや財布をなくす次ぐらいに面倒くさい「預けたスーツケースが紛失した時」について、発生した際の対処方法とダメージを最小に抑えるコツについて書こうと思います。

スーツケースがなくなったらどうするか

スーツケースを紛失する一番よくあるパターンは乗り継ぎ時、次の飛行機に載らなかったというものです。
機内手荷物だけで済むフライトもあるかと思いますが、メーカーにいるとサンプルや製品を持って行ったりする事が多くそんなに身軽に行ける出張はほぼ0に等しいです。大体、乗り継ぎ時間が1時間未満の場合紛失する可能性が飛躍的に高まります。
また空港のシステムエラーで乗継空港の登録自体が間違っている場合もあります。これは防ぎたくても防げない一番最悪パターンです。
これを未然に察知するには荷物の預け入れ時、チケットカウンターで預け荷物と引き換えにもらったレシートをその場でチェックすることです。ただこれは空港のIATAコードを知らないと判別がつきません。IATAコードとは、成田であればNRT、羽田であればHNDといったアルファベット3桁で表す空港識別コードです。もらったレシートに記載されたコードが自分の乗り継ぐ空港と違うコードだった時があり、もらった際に気づくことができず紛失してしまいました。

さて本題はここからです。スーツケースをなくしたときにどのように対処すればいいでしょうか。
1回の出張で2.5回もスーツケースをなくされた事がある私の経験談から、申請の流れをお話しさせてください。

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どこで紛失を申請するか

どの空港でも同じですが、パスポートコントロールを過ぎた手荷物受取所(Baggage Claim)のどこかにそういった荷物のトラブルを相談できるカウンターあります。使った航空会社によって申請カウンターが異なりますので、自分がどの航空会社を使ったのかは良く覚えておきましょう。深夜になるとカウンターに人が少なくなるので下手をすると数時間待ちになります。
ええ、深夜で数時間待ちです……。

大体の場合、航空会社が契約している紛失(Lost & Found)を専門に扱っている業者とのやり取りになります。

申請方法

カウンターにいくと書類を渡されるので、個人情報と便名を一通り申請書に書いて署名をします。そしてスーツケースの判別に関わる、色、形、ブランド、大きさなどの質問のやりとりがあります。スーツケースの形はコードになっているようで、それが書類に記載されます。2輪のキャリーケース、4輪、箱型など様々な識別コードがあり、これは世界共通なのだそうです。

申請後について

質問が完了して手続きが終わると問合せ番号と窓口の連絡先をもらうことができます(一部もらえない会社もあります)。
連絡先をもらったら、ほぼ数時間ごとに業者へメールをして状況を聞きながら、自分の滞在先に送って貰う様に手配しないといけません。これが海外出張だと拠点が目まぐるしく変わるのでなかなか難しくなります。
某国では結局滞在先には届けられる時間がなかったので、次の日の帰国便に載せて貰う様な手配になった事もありました。

毎日結構な数紛失はあるようです。そのうち、完全に見つからないパターンも我々が思っているよりも多いという話をちょうど先日なくされたタイミングで成田空港の職員の方に聞きました。

ダメージを最小限に抑えるには

スーツケースには必ず判別出来る様なタグを付ける

名前が書いてあるタグは非常に重要です。ユニークであったりするとすぐにわかるので良いです。また行く前に写真を撮っていると良いかもしれません。

重たくても重要なモノはスーツケースには入れない

よくパソコンやカタログを入れてしまったりするのですが、商談するのに必要なものはなるべく手荷物で持って行くのをオススメします。なくしても最悪なんとかなる、という状態にしておくとよいでしょう。

機内手荷物に食料と歯ブラシ

私は軽くて腹にたまる煎餅を食料として出張中は常備しています。私的には味も濃い「技のこだ割り 醤油せん」が気に入っています。
フライト後にスーツケースの紛失申請と続くと、相当疲れているはずです。なくしたものがいつ出てくるかわからないので気が休まらず本当に食べ物は重要です。食べた後は歯ブラシです。ただ歯磨き粉は手荷物検査でいちいち出さないといけないので個々の判断で。

最後に

さて、Cerevoではこういったトラブルも含めてそれを楽しみながら一緒に働ける仲間を募集しています。私は海外営業ですが今募集しているエンジニアの世界も予期せぬトラブルが起こります。
その中で落ち着いて臨機応変に出来るようになる対応力を磨くのも楽しいかもですよ。